1930年、ボビー・ジョーンズがグランドスラムをかけて出場した4つ目のメジャーがこのコースで行われた全英オープンで、見事、年間グランドスラムを達成したことは有名……にも関わらず1921年と書いているゴルフ雑誌の記事があるなぁ。英国ゴルフ場設計者協会学士会員という肩書きを持っておられる方なんですけど確認ミスですかね。
それはさておき、ボビー・ジョーンズといえばマスターズになるわけですが、今年のメジャー大会についてまったくコラムを書いていなかったので、全英オープンの前に、今年のマスターズと全米オープンについて書こうと思います。旬な時期は逃してますが(^_^;)
両大会に共通して言えることですが、なんといってもコース改造のひと言につきると思います。オーガスタは去年に比べて150ヤードも距離が伸び、全米オープンが行われたウィングドフットではとうとう500ヤードを超えるパー4が現れました。これはもはや異常事態だと思います。
600ヤードを超えるパー5は理解できますが、500ヤードを超えるパー4はちょっとやりすぎかなと。優勝スコアをイーブンパーに設定するUSGAらしくない気がしますし、結果的に優勝スコアが5オーバーになったことからもその設定が難しかったことが伺えますよね。そもそもラフが深かったり、グリーンが固かったりと、距離以外の難しさがあるわけで、ここまでやらなくていいんじゃないかなぁと。
ただ、オーガスタを観ていて思ったのは、目先の改造ではなく、数年先をきちんと考えてコース改造を行っているなということです。タイガー・ウッズが登場するまでずっと同じ距離だったオーガスタを長くして、ラフを作り、新たに樹を植えた。そのときはさほど影響がなかった改造が、年数を重ねるごとに徐々に効いてきている。たとえばティーグラウンドの位置を動かすことで、それまでに行った改造により難しさが増すとか、そういう改造を行っている。これはすごいことです。
まあ、毎年同じコースで開催するマスターズだからこそとも言えるわけですが、道具の進歩やプレーヤーの進歩でこれだけ飛ばす選手が出てきたから“とりあえず距離を延ばそう”ということではないというのは評価できると思います。こういう部分が日本と世界の大きな違いだなと感じます。
たとえば、かつてJPGAツアー「ジュンクラシック」が開催されていたジュンクラシックCC
そこでその池の淵にバンカーを作って、そのバンカーも超えないと2オン狙いを難しくしたわけです。ところが飛距離が伸びているので、わざわざ危険なルートを狙わずに左側の広いフェアウェイにティーショットを落としても2オンが狙えるようになってしまった。そこでどうしたかといったら、左側にもバンカーを作ったわけです。
私のイメージとしては、バカみたいにバンカーを作ったなぁという感じ。ただ作ればいいってもんじゃない。この改造はコース戦略も考えられないホールにしてしまう、ただのいじわるにしか見えません。バンカーを超える飛距離を持っているかどうかだけ。失敗してバンカーに入っても3オンが楽に狙える。その程度のリスクを課すためにひどいホールにしてしまったなと思えてなりません。
こういう例があるからこそ、オーガスタの改造はすばらしいと思いますし、日本のトーナメントコースの改造の仕方も、もっと先をみすえた改造をすべきだなと感じます。メジャー大会の難しさは距離だけじゃない。その距離に加えて深いラフ、止まらないグリーン、そして今週の全英オープンではリンクス特有の風と深いブッシュ、そういった要素が総合されて、メジャーチャンピオンを競うにふさわしい舞台となるわけです。
その舞台となる、初めて目にするロイヤルリバプール。そこに立ち向かう選手達の闘いと熾烈な優勝争いに期待したいと思います。
目先の利益を捨てなさい―お客様の喜びが「無限の需要」を創造する | |
![]() | 広岡 等 おすすめ平均 ![]() ![]() Amazonで詳しく見る by G-Tools |
[AD]
![]() ![]() |
![]() | Tweet![]() |